第1章 現代
私が急にいなくなったせいで、実家の家族には大迷惑をかけていた。
友達からの連絡も凄い数だった。
警察には捜索願いが出され
決まっていた就職先への連絡
一人暮しをしていたマンションの解約
銀行も一時的に止められていて、
スマホは万が一のことを考えて解約せず、料金は親の口座から引き落とされるようにしてくれていた。
そして、泣いて私を迎え入れてくれた家族に……
私はまた別れを告げなければならない。
その事が酷く私の気持ちを落ち込ませたけど……
それでも私は、彼を迎えに行きたい……
頭の中は常に信玄様の事で一杯だった。
今までの事とこれからの事を、どこまで家族に伝えていいんだろうか……
最初は色々と聞いてきた家族も、私の表情から、何か異変を読み取っていたんだろう。
過去のことを聞くよりも、これから先のことを酷く心配してくれていた。
そう。私に課せられた一番重要な任務は……
家族とのことだった。
それは、こちらに来ると決めた時、短い時間だったにも拘わらず、信玄様が佐助君に頼んでいた事で……
私の事をとても大切に思ってくれている信玄様。
それは、私達二人が死ぬまで添い遂げる為に……信玄様が私の事を思って……
現代での私の事や、家族の事にまで気を配ってくれる信玄様は本当に立派な方で……
本当に私が一緒にいてもいいんだろうか、なんてやっぱり悩むんだけど……
歴史に名を残す人だから愛したんじゃない。
私は信玄様だから……愛したんだ……