第5章 退院
豪華に飾られたデコレーションケーキを見る信玄様の目は、子供みたいにキラキラと輝いている!
ケーキにロウソクを立て、火を着けると、
「こんな祝いの仕方をするのかい?」
「はい!今日は退院のお祝いなので!
誕生日にも、こんな風にお祝いするんですよ。
年の数だけロウソクを立てて、お祝いの歌を歌って最後にお願い事をしながら、一気にロウソクを吹き消すんです」
「何か歌いましょうか?」
真顔で聞く、佐助君。
「……それは、誕生日にとっておくかー」
「残念だな」
やっぱり真顔のままの佐助君に思わず笑いがこぼれる。
「それより願い事だなー」
腕を組んで、なんだか真剣に悩みだした。
「国の復興、民の和平、、、、」
そしてぶつぶつと……
最後は幸村のことや、謙信様のことも言っている……
「信玄様、このケーキ1つに重大な願いを込めすぎですよ」
佐助君の冷静なツッコミに
「ははっ!それもそうだなー」
笑顔で答える信玄様。
どこにいても、甲斐の国の民、そして仲間の事を考えている信玄様。なのに……
「そうだな、俺の一番の願いは……」
チラリといつもの妖艶な微笑みで私を見てくる。
思わずドキッとして、顔が赤くなる。
「ま、心で思う事にするよ」
「そうですね、そうして下さい」
少し呆れた声の佐助君に、信玄様と私は声をあげて笑う。
しばらく3人で楽しい時間を過ごしていたんだけど……