第1章 現代
メニューを見て喉がなった。
カレーライスに、スパゲティー、サンドイッチ……
コーヒー、紅茶、そしてコーラ……
久しく口にしていないメニューばかりだ。
小さな喫茶店だから、メニューは多くない。けど……
「え、選べない……全部、食べたくて……」
「大丈夫だ、きょうこさん。まだ当分の間はこちらにいるんだから、今、一番最初に頭に浮かんだ物を食べてくれ」
そ、そうか……焦らなくてもいいよね。うん。
でも、できれば……
「信玄様も元気になれば、すぐに一緒に楽しめるよ」
佐助君が声をかけてきた。
「……ごめん、顔に出てた?」
「あぁ。君はすぐに顔に出るからね」
「ふふ。いつも皆に言われる」
「それがきょうこさんの良いところだ」
「ありがとう……で、佐助君は何、食べるの?」
照れ臭くて、話を元に戻した。
「男は黙ってカレーだな」
「一択?」
「……実は凄く悩ましい」
眼鏡をくいっと上げて、真剣な顔の佐助君に思わず笑みが溢れる。
「だよねー私は、とりあえず……パンが食べたいから……サンドイッチにする!」
「いい選択だ」
「ねー」
ひとしきり笑い合った私達は、それぞれオーダーすると、すぐに運ばれてきたコーラーで乾杯した。