第13章 再会 ~本編完結~
最近の日課は 夜 自宅に帰ってから、きょうこの書いた日記を読むことだ。
一行だけの日もあったり
ほんの少しの些細な日常が書かれていたり
時折、夫婦喧嘩したと言う他愛もない事だったりと……
読み進めて行くうちに、やはり戦の話が出てきたりもした。
城を開ける信玄君、そして城を守るきょうこ。
いつの時代でも、家を守るのは妻の役目なんだな、と思ってみたり……
だけど きょうこは、たくさんの人に愛され守られていた。よく出てくる名前は佐助君に、真田幸村だった。
子供が産まれた時、孫が産まれた時、そして自身が病に伏せった時……
いつも、お父さん、お母さんと呼び掛けている。
会いたい、子供を抱かせたい、孫を抱いた時の幸せを味あわせたかった……など……
どれも叶わなかった。
だけど……
時を越えて、私達はまたきょうこと信玄君に会えたのだ。
こうして私達の元に帰ってきてくれたのだ。
信玄君、今なら……日記を読み終えた私は
君の言葉にしっかりと答える事ができるよ。
『ただいま帰りました』
私達は笑顔で言える。
「おかえり きょうこ
おかえり 信玄君」
終