第13章 再会 ~本編完結~
先程まで笑顔だった当主が、少し厳しい顔をして、
「様、この事はずっと武田家の当主のみが知る、機密事項でした」
「はい」
「ですが、まさか娘にも知られ、こうやって様達にもご覧頂けると言うことは、きっと
信玄公ときょうこの方様の思し召しだと思うのです」
「……はい」
「息子と娘、2人が信玄公ときょうこの方様にそっくりな事も、意味があるのだと思っておりましたが。きっと、様にお会いする為だったのですね」
「…………はい。
その様に仰って頂きありがとうございます」
私が深く頭を下げていると
「あの……様……今度、ご自宅に遊びに伺ってもいいですか?」
お嬢さんが話しかけてきた。
「え、えぇ、もちろんです」
妻が嬉しそうに答える。
「わぁ、嬉しい!きょうこの方様は、私の憧れなんです!だって素敵だと思いませんか?
時を越えてもずっと愛し合っているんですよ!」
高校生らしい恋に対する憧れの言葉に、妻も
「ふふ、そうよね。本当に2人は仲が良くてね……その話もしてあげるわ」
「信玄君のサイン本もあるよ」
息子も自慢げに言っている。
「ぜひ、拝見したいです!!!」
「2人の好きだったケーキ、用意しておくわ」
「ケーキですか?」
「信玄君は大の甘党でね、いつも沢山買って来ては皆で食べていたんだよ」
「色々な話が聞けそうだなぁ」
その場にいた皆が、声を上げて笑った。
結局、日記とチェキのアルバムをお借りして帰り、武田家のご家族が、私達の自宅に遊びに来る際に返すということになった。