第12章 謀~ハカリゴト~
そんな事が凄く懐かしくて……
寂しい時もあるけど、でも温かな心になって……
あぁ……
私は……
私達は、皆……
皆の想いに生かされているんだな……
なんて、時折思い返していた……
安土での数日を過ごした後、信玄様と私は甲斐の国へ、佐助君は春日山へ別々に旅立った。
政宗は、国に戻ってしっかりと国を治めるんだけど、たまにふらりと私に会いに来たり、いつまでも自由人だった。
江戸幕府を開いた家康とはもちろん、ほとんど会えなくなってしまった。
だから、味噌の件は分からないまま。
信長様、光秀さん、秀吉さんと三成くんは、いつの間にか表舞台から姿を消していた。
だけど、時々なんだけど……
文が届いた。
信玄様にその文を見せると、いつも苦笑いしていた。どうやら江戸幕府を開くための裏工作をしていたみたい。
そして私は……
頑なに側室を持つことを拒んだ信玄様と、幸せな家庭を持つ事が出来た。
子育ても出来うる限り、私達でした。
たくさんの愛情をかけた。
これは胸を張って言える。
お父さんとお母さんと同じように、愛情たっぷりの家庭を築けた、と!
あ!そうそう!
史実にも残っていた、日本で初めての水洗式トイレを開発したのは信玄様だ、って説!
現代でのトイレを見て感心した信玄様が、私の為に作ってくれた物だったの!