第8章 ヒメ…ナミダ
「……」
潤くんが迎えに来て、又潤くん家へ引き返す。
その間、手は繋がれてるものの会話がない。
「飲み物でも買ってく?」
相葉さんに拾われたコンビニの前で潤くんが聞いてくる。フルフルと頭をふると優しく微笑まれて再び歩く。
黙って繋がれたままの手に冷や汗が溜まる。
潤くん家に戻ると…
「…勝手に居なくなんなよな」
ポンポンと頭を叩かれてドキッとする。
心配、してくれたのかな。
正義感の強い潤くんだから…。
それだけの感情なら…つらいや。
ごめんね…と、心の中で呟いて、リビングへ。
「トースト焼いてたんだわ。パスタも軽目の作ってる」
テーブルに色んなお皿が並べられる。
グルッ…と俺の腹の虫が鳴る。
「とりあえず食お?俺も腹減ってるし」
そうだよね…朝から騒動しちゃったし。
申し訳ない気持ちで、二人で頂きますをする。
「あのさ…」
あれだけ作ってくれてた朝食だけど、思いの他ペロッと平らげた。
食後のコーヒーを飲みながらボーッとしてたら、潤くんが話しかけてくる。
「…相葉さんと、さ?付き合ってんの?」
「…は、い?」
持ってたマグカップを落としそうになる…急な質問にドキッとする…。
「何だかんだで、さ?結構二人一緒にいるじゃん?今日も…」
「…付き合ってなんかないよ?」
「じゃ…何で」
「…き、ょうはね?偶然会ったの。相葉さんが仕事帰りに」…うん。嘘はついてない!
そっと、潤くんの顔を見上げると…悲しそうな顔。
「…じゅ、くん?」
「…おれ、さ」
急に改まる潤くん。
それにドキドキしだす俺。
「…好きなんだよね」
「……」
えーと。
この状態で…俺だけしかいないこの部屋で…好きなんだよね、って。
「…相葉さんのこと」
…今まで、俺が潤くん以外とセックスしてたから罰が当たったのかな。
どうやって帰ってきたのか記憶がなく。
気づいたら…日付が変わってた。