第15章 目覚め
目覚め
エルヴィンは兵士でごった返す食堂で今日は早い夕食を摂っていた。
(リヴァイは病室か)
そしてチラリとリヴァイ班のメンツを見ると誰もが沈んだ表情だ。エルヴィンは団長として夕食を終えると一人一人に声をかけてゆく。
そしてペトラの所にやってきた時である。
「エルヴィン団長・・・このままが目を覚まさなければ」
ペトラの頬に伝う涙。訓練兵団からの付き合いだ。を妹のように可愛がっている。
「大丈夫だ。はそんな弱い子ではない」
「でもでも・・・」
エルヴィンはペトラの涙を指で拭い嘆息しながら言った。
「我々に出来ることは待つことだ。を信じて。」
そうペトラに肩を軽く叩くとエルヴィンは食堂を離れシャワーに向かった。
(が目を覚まさなければ班の補充が必要か)
は今となってはリヴァイ班の主戦力だ。更にリヴァイの心中穏やかならぬ状況はリヴァイ自身の志気にも関わる重大かつ面倒な問題だった。
(の能力を補充するとしたら…)
エルヴィンの中では複数の団員の候補が浮かぶが、どれも一長一短がある。はリヴァイが座学の能力の高さを買い長い将来を見据えたエルヴィンの“補助”としてヘッドハンティングした逸材であり、技能面では劣等生であったが、立体起動術や対人格闘術もリヴァイを始めとしてエルヴィン自身も訓練を手がけた文字通り手塩をかけて育てた訓練兵だけあり、訓練兵団修了と同時にリヴァイ班主戦力を勤め上げるほどのハイレベルな能力を持つバランスの取れた兵士だった。
(リヴァイ班のクォリティーを落とすことになるな)
シャワーを浴びながら嘆息をする。
(気は進まないがの病室に行くとしよう。これ以上、リヴァイを消耗させるわけにはいかない。)