第14章 滑落事故
それはが調査兵団に補習に来ていた時、馬上から立体機動装置で建物の屋根に上がった時に、がバランスを崩した時の事だった。その時はリヴァイがそばにいてを滑落から守ったが・・・
「お前はまだあの時の子どもか?目を覚ましたら特訓してやる。だから早く目を覚ませ。」
聞こえているのかいないのか分からないがは反応を見せず眠り続ける。
当時のはまだ身長も低く、立体機動装置を装着していると言うよりも。立体機動装置に覆いかぶされているようだった。しかし、は遅い初潮を迎え。今ではリヴァイとそう身長は変わらないまで成長した。
「お前、大きくなったな。訓練兵団にいたときはチビだったくせに。今じゃ俺と同じくらいの身長だ。」
話しかけてもは眠り続ける。
やがて日が傾いてきたときである。
「リヴァイ、の容態は?」
やってきたのはエルヴィンだった。ただの一兵士のために団長が病室にまで赴くことは今まではないが、エルヴィンにとってもは訓練兵団から調査兵団に所属している特別な子だった。
「見ての通りだ、エルヴィン。はずっと眠ったままだ。」
沈痛な面持ちのリヴァイにエルヴィンは驚きを禁じ得なかった。
リヴァイは喜怒哀楽を基本的には殆ど出さない。だが、今のリヴァイは消衰しきっており
ガックリと椅子に座り頭を抱えている。
「リヴァイ、夕食を摂ってこい。私はもう摂ってきた。の付きそいは私が変わろう。」
「いや…正直、飯食う気も起きねえ。」
「お前がそんな状態だと軍の志気に関わる。そんなにの傍にいたければ飯を食ってくるだけでいい。」
それを聞いてリヴァイはハッと気づく。自分の中に占めるの大きさと一兵士以上の感情のあることに。
「…お前が一兵士のために、そんな顔をするとは思わなかったな。」
「そういうお前こそ団長であるお前が一兵士のために病室にやってくるってのも変だろ。」
「いや、私は何もをただの一兵士だとは思っていない。」