第11章 壁外調査
「、服に血が着いてる。怪我をしたの?」
「いいえ、全く」
そう問われてもには全く身に覚えはない。はひたすら馬に乗って疾走していたのだから。ましてや巨人にも遭遇していないし落馬も擦過傷もない。
にはジリジリとした不安が襲ってくる。が、何を悟ったかペトラは建物にの手を…引いて連れていった。
「大丈夫、これは怪我ではないわ。いいわ、準備してくる。」
そう言って素早くペトラはの元に戻るとひとつの紙包みと新しい兵服を渡した。
「、成人おめでとう。これであなたもようやく大人の仲間入りね!」
「これって・・・」
「そう、初潮よ。この究極の極限下に置かれて、あなたは大人になった。これから体はどんどん成長して行くわ。」
ペトラは処置方を教えて夜間に近くの小川で洗濯する事を勧めた。
だが、指令系統には間違った情報が伝えられた。『が負傷した』と。
やがて全ての処置が終わった頃、リヴァイ兵長がの元を訪れた。
「、負傷したと聞いたが?」
「へ?私、どこも怪我してませんよ?ほら。」
といい、自分の体をクルリと回り、飛び跳ねて見せた。
「おかしいな、どういう事だ?確かに流血があったと聞いたが?」
「間違った情報が伝わったんじゃありませんか?」
「まさか隠してるんじゃねーだろうな?」
「何も隠していません。」
は戸惑いながらも“真実”を告げる。ひとつの隠し事もしながら。
「ふん、まぁ何でもなければいい。」
そうリヴァイ兵長は言うと去っていった
やがて夜間になり、は仮眠時間になると。そっと寝床を抜け出し小川に洗濯に行った。
「ううっ、やっぱり夜間になると寒い、」
小川の水はかじかむ冷たさで、サラサラと流れていく。だが時間の経った血は容易には落ちない。何度も石鹸をつけて洗っているときである。
「お前、やっぱり隠し事してたな?」
「リヴァイ兵長!」
月明かりに照らされて現れたのはリヴァイだった。
「なぜこんな時間に洗濯をしている?」
「あー・・・汗ばんでいたので洗濯していただけです」