【Harry Potter】 Missing Heart
第14章 彷徨う心
彷徨う心
夜の7時、スネイプは自室でイライラしながら1冊の雑誌を見ていた。
それは同僚である闇の防衛術を教えるリーマス・ルーピンからのものだった。
廊下ですれ違いざまにスネイプはルーピンから1冊の雑誌を投げて寄こされたのだ。
「やぁ、セブルス。君も隅に置けないなぁ!ほら、これをごらんよ。」
そういって急に放られた雑誌をかろうじてスネイプは掴むと一目見て眉を思いっきりしかめた。
「またお前はこんなようなものを。」
「お節介なようだけど、たまには君も世間の風を知った方がいいと思うよ?」
「ふん、私に関する本やらゴシップ誌なんざ今時珍しくも・・・」
それを聞いたルーピンは困った顔をした。
「そうだね、君は元々世間の風なんて気にしないもんね。でもね、今回はそうもいかない。内容は・に言及しているんだ。」
「は?なぜ、が私との関連で雑誌に出ているんだ。」
「・・・とりあえず、それ上げるから部屋でよく読んでみなよ。」
そしてルーピンは小さく低い声でスネイプに言う。
「・の安全にも関わることだよ。ちなみに月間人気雑誌チャートではそれが1位だよ。君は魔法界の英雄だからね、そのことを良く頭に入れておかないと。」
気が進まぬもののの安全と言われれば見ないわけにも行かない。スネイプは自室に戻りページをめくると、頭痛を覚えて机の上に雑誌を放りだした。
「馬鹿馬鹿しい!何が恋人だ。ったく、ルーピンめ。私に喧嘩売ってるつもりか。」
と久々に感じた怒りで頭の中は一杯になったが、すぐにルーピンの“の安全に関わる”と言う言葉を思い出した。
(この記事を読んで真に受けた馬鹿がに危害を加えるという可能性か?)
ホグワーツ学内にもスネイプに対する信奉者は少なからずいる。彼がいると言う理由でホグワーツの入学を希望する者も多い。
「全く、今になってポッターの苦労が分かった気がするな。」
そう独りごちる。