【Harry Potter】 Missing Heart
第5章 思惑
思惑
次の日、は重々しい鐘の音で目が覚める。全て昨日あったことは悪夢だと思いたかったが、次に聞こえてきた声に我に返る。全ては現実であった。重い体を起こすと
「起きたかね。」
昨日聞いたあの男の声が聞こえる。の顔に緊張が走る。
「おはようございます。スネイプ先生。」
そう、プライバシーはゼロ。一つの部屋を共用のテーブルと椅子を置いて左右にそれぞれとスネイプのスペースがある。ベッドから起きたか否かは目を移動させるだけでも嫌でも分かる。
は頭の中では分かっている。この世界に入ったばかりの自分は常に他者の助けが必要であることを。だが、少なくとも成人している大人が異性と同じ部屋とはなんとも承服しがたいことは事実だった。
「起床の鐘ですぐに起きられるとは結構なことですな。」
彼は既に起きていたのだろう、彼の個人用デスクにはコーヒーと共に大量の羊皮紙が積まれている。
「遅かったでしょうか。」
「いや、規定通りだ。さて・・・目覚めたばかりだが、君の来ているその服ではこちらの世界ではかなり浮いてしまう。今からマクゴナガル副学校長のところに君を連れて行く。こちらの世界の服の着方を教えてもらい着てきたまえ。」
は自分の服とスネイプや昨日見たマクゴナガルたちの服を見比べて肩をすくめた。
「分かりました。お願いします。」
「ふむ、ではこちらの暖炉の前に来たまえ。今からフルーパウダーという粉末を暖炉に入れ君と私が入る。」
それを聞いたはぎょっと耳を疑う。
「あの、火の中ですよね?」
「いかにも。ああ、心配せずとも火傷はしない。この世界での移動手段だ。」
「・・・・・・移動手段ですか。」
起床後すぐにこれだ。たまったものではないがは諦めのため息をつく。
(この世界に適応しなければ生きてはいけない。)
ということを嫌と言うほど知っているからだ。だが、何もかもがの知っている常識の斜め60度上をゆく展開で頭は全く着いていけない。