【Harry Potter】 Missing Heart
第38章 卒業
「私の父や母をご存じなのですか?」
「もちろんじゃ、わしが在職中であったからのぅ。君の父君はレイブンクローで母君はスリザリンじゃ。とても仲の良い二人だった。そして君が生まれた。」
「知りませんでした。」
「そうじゃろうの。君がここにやってきたのは原因は不明じゃが、急に発現した魔力のコントロール目的のために”収容”されたようなものじゃからのう。純粋に学生として入ってきた彼らとは経緯が違う。」
ダンブルドアは続ける。
「じゃが、君はここで一つ大きな何かを手に入れたのとは違うかのぅ。」
「……」
「愛じゃよ。むろん色んな形での愛がある。じゃが、君が得たのは極めて純粋に君を思う愛じゃ。」
それを聞いたユイは胸に痛みが走る。
「君も分かっていると思うが純粋なマグル育ちの君を受け入れるには大変な困難が予想された。今は普通に歩いているであろう廊下にも当初は大変な危険が潜んでおった。」
「……」
「そこで、わしは君の一切の世話をスネイプ先生にお願いした。それはなぜか、人生、生きておれば一つや二つ心が欠けそうになるような出来事が起こる。そして人はそれを抱いて生きて行く。そう、君だけではなくスネイプ先生も同じじゃった。君という存在が彼を、そして彼の存在が君を救ってくれるかも知れないと希望のようなものを抱いておったのじゃ。最初は彼もDrに対する恩義として君を受け入れたのかも知れぬがのぅ。」
「……」
「スネイプ先生は君に対してこの学校に適応させようと懸命な努力をした。それが純粋に彼が君に対する思いであり、君もそれに報いようと努力をした。そして互いの努力の末に
互いを思う師弟愛が生まれた。」
やがてダンブルドアは椅子から立ち上がると空を見上げて言った。
「ユイ、しばらく君は自分自身の心の片付けをする必要があるじゃろう。大学が始まるまではあと半年ある。ゆっくりと片付けるが良い。…そうじゃのぅ、マグル学の先生が君に助言をもらいたいと言っておった。たまに相談に乗ってもらえると嬉しいのぅ。」
ユイはホグワーツに次の大学が始まるまで残留する事になった。ダンブルドアはマグル界の情報収集の手段としてユイに一つのオフィスを与えた。
それはユイが入学当初、寮として使っていたあの南塔にある一室だった。