【Harry Potter】 Missing Heart
第38章 卒業
卒業
9月1日。この日はからっと晴れた青空だった。
ホグワーツの青空には黒い角帽が投げられ教員や保護者の拍手が響く。
色とりどりの風船が飛び白鳩が放たれる。卒業式だった。
卒業生の顔はみな希望に持ち光っていた。一方はというと複雑だった。
は式典で主席として挨拶をし教員・在校生たちに向かって式辞を述べるその姿に涙を誘われる者もちらほらと散見された。
卒業式では主席は忙しかった。魔法省のお偉いさん等との歓談だ。本当であればにはもっと会いたい人がいたが、立場上そうも行かなかった。
全てから解放されたのは卒業生がホグワーツ特急でホグワーツを去る1時間前だった。
(つ・・・疲れた。)
怒濤のような行事の連続では疲労困憊だった。
とてもホグワーツとのんびり別れを惜しむというような状態ではなかった。
は朝に卒業式の打ち合わせのためにスネイプと会って以来、一度も顔を合わせていない。卒業式の教員席には間違いなく彼はいたが、それ以降は一度も見ていないのだ。
ホグワーツ特急はもうすぐで出発してしまう。
せめて最後の別れの挨拶くらいはしたかった。
が懸命に校舎の中を探しているとは校長の姿を発見した。彼はホグワーツの中庭でが何時も座っていたベンチに腰掛けていた。すると息せき切って走るに彼はまるで待っていたかのように声をかけてきた。
「、スネイプ先生を探しているのかのぅ?」
「はぁはぁ・・・え?」
意外な人物からの問いかけには思わず足を止めた。
「え、あの。」
はとっさにどう答えていいか迷った。はもうホグワーツから去りゆくべき人間だ。
「まぁ少し、わしと話をしていかないか」
「え?でも列車が・・・。」
「君のお父上は今夜は聖マンゴ魔法疾患障害病院の夜勤じゃ。そう急いで帰る事も
なかろう。それに、君はまだ大学が始まるまで半年もある。時間はまだたくさんある。」