【Harry Potter】 Missing Heart
第30章 時計の針を進めるということ
静かな時間が進んでいく。
「私が君の心を操作することはできるだろう。たが、私は意図的に君の心には介入したくはない。なぜならば君を大切に思っているからだ。君自身が自分の心と向き合い、その覚悟があるならば私は向き合おう。」
そう言って彼はの部屋を去った。スネイプ自身はがどのような状態か分かっていた。彼も昔、同じ思いに囚われたことがある。
そして、彼自身がに対して抱いている思いと同じだろうと分かっていた。
スネイプは部屋に戻るとため息をついた。自分でも恐ろしいほど冷たく理性的に対処したと思う。
(もし、あの場で抱いてしまったとしても)
恐らくはスネイプを抗いながらも受け入れただろう。だが、それは本当にそれが望む結果とは限らない。
を愛するがゆえに臆病になっていると感じている。大切に思うがゆえに最後が踏み切れない。
そして何よりもスネイプを呪縛している思いがある
(を一刻も早く卒業させ、自由にさせたい)
その思いが彼に教師であることを嫌でも自覚させに対する想いを閉じさせる。
今の関係から先に進めるにはの意志が必要だった。
一方、も煩悶していた。
(私はどうしたいの)
心の中では分かっている。だが、それを真正面から認めるのはなかなか難しかった。
(彼は教師だ、私は何かとんでもない勘違いをしているのかも知れない)
その恐れがを素直にさせることを阻んだ。
(ただの尊敬を勘違いしているだけ・・・そうだとしたらお互いに傷つくだけ。)
は今の関係を壊したくないという思いと別の感情の板挟みに苦しんだ。だがは煩悶のうちにひとつの強い感情に気づく。
(私は1人の女性とし彼に見られたい。愛してもらいたい。)
そしては気づく、自分が傷つくことを恐れていたことを。更にさっきの態度が彼を少なからず傷つけたことに。
は先に進むことによって様々なものを失う可能性があること。それでもは向き合いたかった、自分と彼に。
はスネイプの部屋を訪れる。そして注意深く扉を閉めた後に彼に抱きついた。