第4章 ~ Tie it forever ~【A×M】
「来てたんだ~?」
「うん。さっきね」
「兄貴、喜んでるでしょ?」
「ふふっ、そだね...きっと」
花瓶の水を変えて来たらしい雅紀は、
今度は慣れた様子で、彼の身体を摩る。
「そっちの手は、潤がやってよ」
俺は雅紀と反対側の丸椅子に腰かけ、
彼の腕をマッサージする。
すっかり細くなってしまったな、
そう思うと切なくなる。
顔はあの頃と変わらないのに...
今にもアーモンド色の大きな目を開けて、
「潤」
そう呼んでくれるんじゃないかと思うほどに。
『翔、君はいつ目を覚ますの?』
俺と彼は、恋人同士だった。
高校の同じクラス。
明るくて、頭がよくて、人気者の翔は、
俺にとって憧れの存在でもあった。
その彼から告白され、付き合うようになり、
身体の関係を持つようになったのは、
それから半年くらい経ったとき。
彼の部屋だった。
翔と過ごす時間は、本当に幸せだった。
そう...
あの日までは。