第2章 ジェラシーウルフ【M×S】
この日は打ち合わせで事務所に行く。
夏にある大きなイベントについての話し合いだ。
ニノも、相葉くんも来ることになっている。
潤は今年に入って、表向き自宅でゆっくり静養しているかのようになってる。
まあ本人もそう言ってるしね。
実際、今までの殺人的な忙しさと比べたら、
その10分の1ほどの仕事量ではあるけれど…
何もしていないってことはない。
後輩のライブの相談を受けたり、
春から流れるCMの撮影、
そしてこんな風に、水面下で行われている打合せ…
「おはようございま~す」
「おっはよう~♪」
潤の後について室内に入っていくと
ニノと相葉くんがそろって顔を上げ、挨拶を返してくれた。
「あ、翔ちゃん!これ観て~」
相葉くんがスマホを持って立ち上がり、
俺の方に近づいて来ようとする、その間に、
さり気無く潤が割り込んだ。
椅子に荷物を置くふりをして、
相葉くんの行く手を遮って見せた。
潤は素知らぬ顔で、リュックを椅子に置いた。
一瞬……
相葉くんが俺を見て、口元だけに笑みを乗せた。
それは、俺にしか分からないくらい、ほんの一瞬のこと。
「こっちで一緒に観てよぉ~」
ニノの隣に、落ち着いた相葉くんがまた俺を呼んだ。
「なになに~?」
俺も普通の顔して、二人の前から相葉くんのスマホの画面を覗き込んだ。
そこには、久々の智くんが魚を両手に満面の笑みを見せていた。