第1章 仰せのままに…【S×M】
始まってしまえば、後は突っ走るだけ…
息が止まるほどの緊張も、
いつの間にか消えていくんだ…
予定の4曲を無事に歌いきり、
よく分かんなかったけど、ちゃんと盛り上がってくれてたって、そう思う
後で、翔くんとエゴサしよ♪
無事に出番が終って、色んな関係者の人が寄って来るから、その中でそれぞれが対応しながら、やっと楽屋に戻って来た
「ああ、なんか凄い緊張したね~」
「結構盛り上がったんじゃない~?」
相葉くんとニノが着替え始めながら話している
そこに少し遅れて翔くんが戻って来た
バッチリ目が合ったから、何か声をかけてくるかな?
って思ったんだけど、スーッと反らされてしまい、俺は固まった
………あ、まあね、ゆっくり着替えてから
『行こうか、潤』
って…そう言ってくれるんだ、きっと
だっていつもそうだったから…
俺だけが例外じゃなく、
ニノを誘う時も、
相葉くんや大野さんを
その晩のベッドに誘うのも、
翔くんは楽屋に戻って最初に声を掛けるんだ
今日みたいに、本番前の段階で1人に声をかけた時は、言わずもがな、当然その日は、その時点でもう決まっている訳で。
………ニノが、チラッと翔くんの横顔を盗み見てる
相葉くんなんか既にキョドってるし…
大野さんは、素知らぬ顔で携帯の画面を見ているけど、さっきから一度もスワイプさせてない
翔くんは決まり事を大事にするタイプで、
まあ、俺には負けるかもしれないけど、
こういう事にもルーティーンがあって…
それは5年間、変わらずに続いて来た
それが、今日は違う…
何かが違う…
固まったまま、息をすることさえ忘れた俺を尻目に、翔くんは普通の顔して、
なんなら、軽く口笛なんか吹きながら、荷物を片付け始めた