第23章 ご城下らぷそでぃ【S×O】
腕の中でゆっくりと顔を上げたさと…
「翔さまに、さとはもう要らぬと言われぬよう、私も励まねば…」
そう悪戯っぽく笑った幼顔からは、なんとも言えぬ色香が漂っていた。
……今すぐさとを……
善からぬ欲求が身体を駆け上がる。
我慢できず、花のような唇を奪うように口付けると、それだけで脚の付け根が熱を持つ。
それをさとに伝えたくて、口を吸いながら身体を押し付けると、
「…侑李が見ております」
さとはそう艶やかに笑って見せた。
それから十月ほどした春の夜…
部屋で待つ私とさとの耳に、遠くから赤子の泣き声が届いた。
「上様!」
「うむ」
「お千代の方様、元気なお子をお産みになりました!」
そこへ、程なくして侑李が転がるように飛び込んできた。
「落ち着きなさい。侑李…千代様もお子もご無事なの?」
「あ、すみません…はい、お元気です!
あっ!う、上様、これは失礼いたしました!」
「いや、よい。して、侑李… わこは…」
「はい、姫君にございました」
「そうか…姫か…」
男子ではなった…
「侑李、お千代様には会えるのですか?」
「はい」
「では上様、お子に会いに行きましょう!」
さとは、私の手を引いて、廊下をずんずんと歩いていく。
「上様の御成りにございます」