第23章 ご城下らぷそでぃ【S×O】
美しい……
そっと手を伸ばし、指先で頬を撫でてみた。
「少し、痩せたか?」
「そうでしょうか…?自分では、よく…」
今度は両手でさとの頬を包んだ。
「…さと…」
「…翔、さま…」
顔を近付け、もう少しでさとの唇に触れることができる…
そのとき。
さとの目が、すうっと動いた。
その先を辿るとそこには和と侑李が……
ああ、
忘れておったわ。
ふたりを部屋から出し、さとと二人の時間を楽しんだ私は、和也を従えて中奥に戻って来た。
「上様」
「なんだ」
「お顔が…」
「ん?顔がどうした?」
「…だらしなく緩んでございます…」
だらし…… ?? …
「和!!」
「はははは…」
和に揶揄われた。
しかし、和也に指摘されるのも無理はないか…
さととの僅かではあったが、久々に甘い時間を過ごし、自然と口元が緩んでしまっていたのは否定できぬ。
両手で軽く頬を叩いて、気持ちを入れ替えた。
さととの婚礼まで、あと半月。
政務も今まで以上にきちんとやらねばならぬ。
婚礼の後、五日間さととふたりきりで過ごすこと、雅紀に申し出た。
近場に出掛けてもいいし、さととゆっくり過ごしてもよい。
とにかく、夜に紛れる様にこそっと会うだけではなく、一日中さとと同じ時間を過ごしたい…
それは、ずっと私の夢だった。
さとの膝で耳掃除をしてもらったり、
花を愛でに行ってもいい。
ゆっくりと酒を飲んで、酔って赤くなったさとも見てみたい。
温泉場に湯治に行き、さとと共に風呂に入ってもいい…
………
風呂場で、さとの一糸纏わぬ姿を想像し、私の中心が反応した。
………
だめだ。
ちいとも顔が引き締まらぬわ。
「上様…本当にようございましたね…」
私の様子を見ていたのであろう。
だらしないなどと揶揄った和が、しみじみとそう言った。