第23章 ご城下らぷそでぃ【S×O】
「和…下がっておれ…」
襖の向こうに声をかけると、暫くの沈黙の後、
「…御意」
そうひと言言って、和也は気配を消した。
和も襖越しに、何かを感じ取ったのだろう。
それが何かは分かるまいが、私が『下がってもいい』と言った言葉を、そのまま飲んでくれた。
「………さと」
「…はい……」
青い着物の下から現れたのは、紛れもない私と同じ性を持つ……
細い身体を僅かばかり隠すように腕を巻き付け、さとは目にもはっきりと分かるほどに震えていた。
「これでよいのか?」
「…はい…我儘を言いました…申し訳ござい…んっ…」
我慢の限界だった。
抱き寄せたさとの唇を強く吸った。
「…ぁ…んんっ…はぁ…」
さとが男子であったことは衝撃の事実だった。
このような美しい男がいるとは……
だがしかし、不思議なのだが、欺かれていたという気持ちにはならなかった。
「…あぁ、翔さま…私…んんっ」
さとの鼻に抜ける甘い声に、私は床急ぎを恥じる余裕も無くなっていた。
早急に自分も着ているものを解き、肌を露にするが早いか、さとの身体を布団の上に押し倒した。
そして、さとの平らな胸に己の肌を重ねた。
「ああぁ、さと……」
「…翔さま…私は…」
「今は何も言うな。そなたの事情を聞くのは睦み合った後だ…」
「……はい…」
頷いたさとの目から、真珠の粒よりも美しい涙が溢れ落ちた。
「…さと、さと…さと…」
「…あっ…や…はぁっ…んん…」
これほどまでに恋い焦がれた相手、さとは、私と同じ男だった。