第23章 ご城下らぷそでぃ【S×O】
政務に忙しくしている間に、あっという間にその日なった。
まあ、わざと政務に没頭していたのだけれど…
初めてこんな、弱気になった。
さとは、
来るのだろうか…
私の不安など気にも止めない和也は、さとの素性を調べさせたり、その日の段取りを決めたりした。
「翔さま、さと様の素性は確かでした。城下でも三本の指に入る大棚の娘でした。
廻船問屋の大野屋といえば、大奥とも取引がありますし。
どうりで、今までの娘とは違う、品がありましたね〜」
…………
「お前、そんなに近くで見てないだろう…」
「遠目でも分かりますって!」
「………」
さと……
私を受け入れてくれるか?
いや。
それよりも、私との約束を忘れてはいないだろうか?
「さあ、参りましょうか?」
「お気を付けて。」
「うむ…」
「あ」
「なんだ」
「お帰りは遅くなっても大丈夫ですから。」
「……」
「どうか、ごゆるりと」
…………
ニタニタとする雅紀が見送る中、和と二人城下へと向かった。
「…全く…雅紀のやつ…」
「きっと雅紀さまも嬉しいんですよ。翔様が初めておなごに執着を見せたので」
いや、執着…
というわけでも…
「で」
「で?」
「私が始めにさと様と話しましょうか?」
「……」
和也は、さとに私との寝屋を伝え承諾を得るつもりなのだ。
いつもはそういう面倒なことは和也に任せていたし、それが当然だった。
だけと……
「さとは…さとだけは私が自分で…」
「………翔様…」
そう。
さとには自分で伝えたい…
どんな言葉で伝えるべきなのか、考えても全く分からなかったのだが。