第23章 ご城下らぷそでぃ【S×O】
「違いますかな?」
「……」
「実は先程、お大師様で…」
「和!!」
「良いではござりませぬか…この老いぼれに浮いた話のひとつもお聞かせいただければ、いくらか若返るというものです」
そう笑う良安と『いやいや、まだまだ…』と含み笑う和也と、
そんな二人を見ながら、
さとの姿が、より鮮明によみがえって来て…
私は膝の上の拳を握った。
和也が良安に、先程の私とさとのことを揶揄かい半分に話しているのが分かったが、それに怒る気にもならず、途中からはふたりの声さえ遠退いていった。
さと……
名前しか知らぬ町の娘…
今日偶然、初めて会い、僅かな時間言葉を交わしただけの…
和也に言わせると、素性も分からぬ、もしかしたら、私との約束を破り、もう2度と会えぬかもしれない娘…
……もう、2度と……
そう思っただけで、胸の奥が針で刺されたかのように痛んだ。
………これが、
これが……恋…
今まで身体を結んできた娘たちも皆可愛らしく、愛おしいと思い抱き寄せてきた。
でも、
違ったんだ…
さとを思う気持ちは、全く違って…
言葉ではうまく言い表せない、初めて出逢った不思議な気持ち…
さと……
早く会いたい…
会って……
会って、どうする?
和が段取りを整えたときと違い、ただ3日後に会うことを約束しただけだ。
さとは、どんなつもりで来てくれるのか?
いきなり寝屋を共に…何て言ったら、汚いものを見る目で私を見るかもしれない…
そうしたら…
そんな顔をされたら、私は……