第22章 卒業なんか嫌い【S×N】
その日は朝から晴天だった。
俺と雅紀は、サッカー日本代表の親善試合に来ていた。
日本チームの勝利に上機嫌の俺たちは、帰りにマックで祝杯を上げようとスタジアムを出た。
その時、予期せぬ雨が俺達を襲った。
まさに、バケツをひっくり返したとは、こんなどしゃ降りのことだ。
帰りの観客でごった返していた駅までの道はパニックで、雅紀とはぐれてしまった。
全身ずぶ濡れの俺は、店の軒先で雨脚が弱まるのを待っていた。
雅紀に連絡しようと携帯を出したその時。
「やべぇ~、びしょびしょじゃん!」
えっ!?嘘…
そこに飛び込んできたのは、なんと翔先生。
「おお、ニノ!試合観に来てたのか?」
「うん…せ、先生も?」
「おう。この雨で友達もどっか行っちゃったし…つーか、お前ひとり?」
「いや、俺も、ま…友達といたけど…」
咄嗟に、雅紀といたことは言わなかった。
「友達、いいの?」
「はい、どうせこのまま帰るつもりだったし」
「そっか…じゃあ、俺んち行くか?」
「えっ?先生の家?」
「そ。走れば5分だ。どうせもうこんなだしさ。走るか?」
そう笑った先生に俺は見惚れた。