第17章 僕の小さな管理人【O×S】
「翔…おいで……」
智が俺を呼ぶ。
でも俺はその場から動けなかった。
ほんの数分前まで、智が座っていた、テレビの横……
「翔……」
「……」
「……翔…」
「なんで、消したんだよ…消すことないだろ?
あいつは、智、お前なのに……」
「…ごめん…つい…」
「鬼だし、我儘だし、酷い奴だって思った時もあったけど……俺のこと、ホントに分かってくれてたのに…」
「翔………だからだよ」
「えっ?」
智がじっと俺を見つめながら言った。
「お前のことかばうから…だから…
悔しかったんだ…俺よりお前のこと知ってるみたいな顔してさ…」
「智……」
項垂れる智を俺はそっと抱き締めた。
「ホントは俺がいつも、翔の側にいたかった…
翔の横で、翔のこと、いつも見ていたかったんだ」
……なんだか。
初めて智の本音を聞いた気がする。
何考えてるのか、いまいち分かんなくて、捉えどこらがないから、いつも気を使ってた気がする。
その分、分身の方には何でも言えたんだ…きっと。
でも……
「智…一緒に暮らそう」
「えっ?」
「いつも、俺の側で、俺を見ててよ..」
「翔……」
「智…好きだよ…」
俺は驚いて少し開いたままの唇にキスをした。
そのまま、俺たちは縺れるように重なり合い、
お互いの存在を、深く身体に刻み付けた。