第17章 僕の小さな管理人【O×S】
『夜行くね』
ご本体からLINEがあったのはその翌日。
いつも忙しい智が会うのを決めて、勝手に来る。
俺の予定なんか、聞いてこない。
そんな勝手な恋人だけど、もう付き合って3年になる。
「そんなにあいつに会うのが楽しみかよ?
あんな、好き勝手な奴」
「お前の主人だろ?その言い方…」
嬉しそうに夕ご飯を作る俺に、
小さい智が文句を言う。
そこに、智がやってきた。
「翔!!久しぶり~♪ほら、チーズケーキ買って来たよ❤」
「やった!ありがと」
俺たちは玄関先で再会のキスをする。
ちょっと大人なヤツ…
それを、テレビの横で10㎝の智が見ている。
「お前さ、ほったらかし過ぎだよ!」
「しょうがないだろ?忙しいんだから」
「翔くんが可哀想だよ」
「だから、おまえを付けてるんだろ?…で?どうなんだよ?翔は浮気してないだろうな~?」
「…知るかよ…」
今夜は珍しくご本体と分身の意見が食い違う。
「ほら、ご飯食べよう!」
俺の取り成しも無視して、二人は言いあうのを止めない。
「もっと翔くんを大事にしろよ」
「お前に言われなくてもしてるよ!」
「してないよ!翔くんはな~」
喧嘩は徐々にエスカレートしていき…
そして……
「もう!お前なんかいらない!!」
「智!ダメだ!!」
…………遅かった。
小さい管理人は…消えた…
3年間、俺の側にいつもいた…のに…
本体の前で、俺は茫然と立ち尽くしていた