第14章 幻想花【A×M】
俺はバイトを辞めて、潤とずっと一緒に居るための準備をした
そんな俺のこと、潤は静かに見守っていた
庭に陽射しが優しく降り注ぐ午後、彼は来た
「相葉さん、お久しぶりですね」
「…櫻井さん…」
彼は、こんな時間に通ったことはなかった
いつものスーツじゃなく、セーターにジーンズというラフな格好
「この頃、牛乳取りに来ませんよね?止めちゃったんですか?」
「……櫻井さん、今日は?」
俺の言葉に、自分の身なりを見返した彼は、
「今日、非番なんですよ…本屋にでも行こうかと思って出てきたんですが…相葉さんに会えてよかった」
ふんわりと太陽のように笑う彼は、とても俺たちの幸せを壊しに来た悪の使者とは思えない
その時、櫻井さんの視線が俺から離れ、館を仰いだ
彼の目線の先を辿ると、窓から下を見下ろす潤の姿が///
「一人暮らしじゃなかったんですね?弟さんですか?」
「しっ、失礼します//もう、ここには来ないでください!」
「あっ、あの…相葉さん!」
彼の声を背中で聴きながら、俺は足早にその場から立ち去り、玄関のドアを閉めた