第14章 幻想花【A×M】
そんなに辛い思いをしてきたのに、
潤は、天使のように笑うんだ
「雅紀、ありがとう」って、
目を細めて……
両親を事故で亡くした俺と、
地獄のような日々から逃げてきた潤との、
奇妙な共同生活が始まった
暫くして、潤を隠し通すことに限界を感じていた俺は、祖父母が残してくれた古い洋館に移ることを決めた
少しずつ人が住めるように準備をし、小雪がチラつく深夜2時。俺たちは、世間の目から逃げるようにその館に引っ越した
広い館の中で、潤は自由にできた
塀も高く、世間から忘れ去られた洋館は、俺たちがひっそりと隠れて暮らすには丁度よかった
潤とふたりの生活……
それは孤独だった俺に、夢のような甘い幸せをくれた。
家に帰ると潤が待ってる
でも、そんな幸せに影を落としたのは、あの男……
櫻井…
彼はきっと、行方不明の潤に気付いて、俺を探ってるんだ。
でなきゃ、毎朝、俺を待ち伏せてる筈がない