第12章 遠花火 【O×S】
翌日の収録で。
「翔くん、夕べはごめんね。
絵を描いてたら寝ちゃてさ~」
悪びれもせず、にっこり笑いながら言う。
「そうだと思った。でさ、
いつ行きたいの?花火大会って」
「いつでもいい♪翔くんとふたりで
見れるなら(^-^)」
思わず赤くなる俺の横を、
「お盛んで♪」
って、ニノが冷やかしながら通り過ぎた。
「いいだろ~♪」
智くんはニノに向かって舌を出して見せた。
こういうところ、いつも俺をドキッとさせる。
10年も一緒にいて、未だにこれだから…
花火大会。
そんなのふたりで見に行ける訳がない。
いくら俺にお忍び力があるって言ったって、
見つかったら逃げ場もないし、
パニックになるでしょ?
そこで、俺が選んだのは、
東京で最初に行われる花火大会。
それが真正面に見えるホテルのスイートルーム。
かなり離れてるんだけど、
誰にも邪魔されずに、
ふたりっきりで花火が見れる、
最高の場所。
その日は、別々の仕事だったから、
智くんには場所だけ知らせておいた。
開始時刻の10分前、
俺がギリギリにホテルに着くと、
もう先に智くんは来ていた。