第10章 サクラ咲け【M×O】
それから俺は、がむしゃらに勉強した。
周りもその変貌ぶりに驚いていた。
何より、やる気のなかった長男が、
いよいよ本気で医学部進学を決めたと、
家族は大喜びした。
3年になると大野先生の授業を
受けるようになり、先生との距離も縮まった。
今日も授業後の教室で、
先生を捉まえて質問した。
「ゲノムDNAの再編成による
免疫グロブリンについてだけど…」
「あ~、それはね…」
教科書を覗き込む先生の首筋が、
あんまり色っぽくて、
俺はそっと唇を寄せた。
「あっ…潤、ダメだよ…合格したら…だろ〜?」
「お願い…先生、キスだけだから…」
「……しょうがないな…」
先生は、少し笑って俺の顎に指を掛け、
そっと唇を落とした。
「…んっ…んん…ぁ…んっ」
「智…好き…」
俺は堪らず、彼の首を引き寄せ、
舌を捻じ込んだ。
深夜の教室..
誰か来るかもしれないそのスリルが、
逆に俺を痺れさせるんだ。
「ふっ…潤…悪い子…」
俺から離れて笑うその顔に、
「ねえ、智…シたいよ…」
我慢するのも限界になってた俺は、
先生に強請った。
「…じゃ、1回だけだからね…」
その晩、俺はついに
夢にまで見た彼と結ばれた。