第10章 サクラ咲け【M×O】
そんな中、俺の耳に届いた噂…
『大野先生って、バイなんだってよ』
バイセクシャル…両性愛者…
塾の中の友達が何人も、
ホテルに入る大野先生を見たというんだ。
それが、女性だけじゃなく、
時には男性だったと…
それを聞いてから、
俺はますます先生のことが、
気になって仕方なくなった。
なぜなら、俺は『ゲイ』だから…
大野先生は、不思議な魅力を纏った人で、
気になり始めてからは、
もう、目で追ってばかりいた。
それは友達に
「お前も、あの人とヤリたいんだろう」
なんて揶揄われる程だった。
彼に近づくこともできないまま、
1年が過ぎようとしていた。
そして今日、桜の下であの人が
俺の名前を呼んだ。
「大野先生!どうしたんですか?
こんなところで…」
俺は、ドキドキを覚られないように、
出来るだけ普通に先生の隣に座った。
「桜を見てたんだよ…」
「そろそろ満開ですよね」
「松本くんは、今日は?」
「前いたリトルリーグに顔出してたんです」
「野球かぁ…なんからしいよね…」
そう笑った先生の顔が、
急に消えてしまいそうな、
そんな錯覚を覚えた俺は、
なんだか焦ってしまい、
「先生って、バイセクシャルなんですか?」
と聞いていた。
バカか///俺は!!
ろくに話したこともない人に、
そんなとんでもないこと聞いたりして。