第8章 リゾートは甘くない【M×S】
……もう、分かった。
何が起きているのか…
誘拐だ///
俺たちは、誘拐されたんだ。
翔くんと俺は顔を見合わせた。
俺たちの素姓を知ってのことか?
それとも、
たまたま日本人を狙ったのか?
いずれにしても、
最悪の事態だ。
俺はこの絶望的な状況を、
どう打破するか、必死に考えていた。
どの位だろうか?…車に揺られて、
連れて来られたのは、無機質な部屋。
お世辞にも綺麗とは言い難いその部屋には、
小さな簡易キッチンと、
ベッドがあるだけだった。
俺たちを床に下ろして、
男たちが話している。
男たちは4人。
なんとか、ここから脱出できないだろうかと、
思考をフル回転させ始めたとき、
男の中の一人が翔くんに近づいて、
猿ぐつわを外した。
翔くんはできるだけ刺激しないように、
穏やかに英語で話しかけたが、
その男は、現地の言葉で何か言って
ニヤリと笑ったかと思うと、
不意に彼に唇を重ねた///
…マジか!そっちなのか?
こいつらの目的は…?
「止めろ!ふざけるな///離せよ!!」
翔くんも激しく抵抗するが、縛られているので、
どうにもならない。
「やめろ!彼に手を出すな///」
俺も声を荒げたが、
男は汚い舌で翔くんの顔を舐めまわした。
他の3人は笑いながらそれを見ていた。
どうしたらいい??
どうしたら彼を守れる??
翔くんが隙をついて男を蹴飛ばすと、
男は壁際まで吹っ飛んだ。