第7章 オレンジ・ペコ【A×O】
俺は、キッチンでお湯を沸かし、
紅茶をいれた。
智の好きな『オレンジ・ペコ』
レモンも添えてね。
「智。紅茶入ったよ~
……こっちにおいでよ」
それでも、動こうとしない。
そんな姿も可愛いんだけどさ。
もう、時間がもったいないでしょ!
俺は、非常手段に出る。
「智がそんなに、気にすんなら、
取りに戻ろうか?
車とばせば、ほんの2時間ちょっとだし…」
すると、思った通り。
智は慌てて顔を上げ、
「そんなの、ダメだよ…
雅紀が、疲れちゃうし!」
「やっと、顔見せてくれたね。
こっちにおいでよ(^^)」
相変わらず眉を下げた、
情けない顔してるけど、
智は、ゆっくりと俺の側に来た。
「やっと二人っきりで
クリスマスしようって、
休みとったのに、そんな顔してたら、
つまんないでしょ!」
「だってさ…俺…」
「いいの!だって、後でくれるんでしょ?
それでいいから。
楽しみは後まで取っとく、ってことで♪」
「………」
……まだ、続けるつもりかよ…
「ならさ。俺の欲しいもん、
ちょうだいよ♪」
「欲しいもの?…俺、何にも、
持ってないよ……」
「持ってるじゃん…こ〜れ♪」
そう言いながら、俺は、
智の鼻を指でつついた。
「えっ?」
その意味が分かったのか、
途端に真っ赤になる君。
そんな姿が可愛くって、
思わず抱き寄せた。
「待って。お風呂…入ってから…」
…女子かっ!!
耳まで赤くして言うのが可愛くって、
「一緒に入る?」
と聞いてみる。
…入ったことなんてないから。
「だめ!!絶対ダメ!…先に入るよ//」
智は俺の腕をほどいて、風呂場に逃げた。