第109章 信じる想い。
★★
電車の扉が目の前で開く
私は電車に乗り込もうと一歩足を踏み入れた
紫原「ーっっ!!」
「っ!?」
敦の叫ぶ声が聞こえた
私はその声に・・・・電車に踏み入れた足をひいた
目の前で電車の扉が閉まる
ゆっくりと動き出す
私はそれを目の前で見送った
敦の声が・・・私を引きとめた
階段を駆け下りて来た敦の姿があった
敦は電車を見送りながら少し悲しそうな顔をしてた
もしかして・・・私の事探して・・・?
なんて、自分でもちょっと自意識過剰なんじゃないかと思う思い込み
「敦・・・?」
私は電車を見送る彼に声をかけた
敦は驚いた顔をしながら振り向いた
紫原「・・・?電車に乗ったんじゃなかったの・・・」
「うん・・・電車に乗ろうと思ったんだけど・・・敦が私の名前を呼んだから・・・」
紫原「・・・・何やってたの?・・・もう、面倒な事ばっかしないでよ」
「・・・・ごめん・・・」
話ながら、敦は私の目の前まで近づいてきた
紫原「なんていつもウジウジしてるし、直ぐ泣いちゃうしぃ、見ててイライラするし、誰にでも良い顔するし・・・・本当に迷惑ばっかりかけるよね・・・」
「・・・敦・・・・?」
私への文句を言いながら、敦は私を抱きしめた
紫原「もうどこも行かないでよ・・・・無事で良かった・・・」
抱きしめる腕が強くなる
敦はこんなに私の事を・・・心配してくれてたんだ
「ごめん敦・・・・心配かけてごめん・・・ありがとう。ここまで来てくれて・・・・ありがとう・・・」
自分の取った行動が、こんなにも心配をかけてしまってたんだ・・・
申し訳ない気持ちと一緒に・・・私の事をこうして心配してくれる人が居て、嬉しいと思った
本当、私って敦に言われた通り面倒な女だなって思った
自分で自分の気持ちがわからなくて・・・
どうしたら良いかわからなくて逃げ出して
昔の記憶ばっかり追いかけた
征くんを好きだったあの頃に戻りたいと願いながら・・・
私は誰かが捜しに来てくれるのを待ってたのかもしれない
本当にどうしようもない・・・・