第107章 初恋。
★★
私は思い出の桜の木に腰を下ろし、上を見上げた
桜の木には花も葉も無く、淋しそうにポツリと立っていた
この木は、自分のようだと・・・・以前は思っていた
けど、違った
私はこの木のように、ずっとその場で見守る事も、キレイに花咲く事も、儚く散っていくことも・・・できなかった
私はここで目を閉じて思い返す
征くんと再会した日の事を・・・・
----―過去-----
中学に入り、初めての冬
空からは少し雪が降っていて、凍えるような寒さの日
今日も私は・・・・・イジメられていた
「本当、相田って腹立つよね。小学校の時から嫌われてたし」
「愛想悪いし、喋んないし!何で男子はあんなのがいいんだろーね?キモイじゃん」
「どうせ男子の前では態度変えてんでしょ」
「今日はどんな事してやろうかな♪」
小学生の頃から続くイジメ
最初は陰口や無視、仲間外れだけだった
でもそれは、次第にエスカレートしていった
私は中学に入り、染みついた作り笑いさえも・・・うまくできなくなっていた
家ではもう笑う事は無かったし、学校もあんまり行かなくなった
行ってもバレないように屋上で過ごした
屋上が学校での唯一の休める場所だった
学校に行っている意味なんて全然わからなくて
ただイジメられに行ってるようなものだった
私は学校をサボるようになった
家で過ごすことが増えて、毎日窓の外を眺めていた
唯一私にいた友達
小学5年生まで続いた彼との約束
征くんは今どうしてるのかな
あの頃は、毎週彼に会えるのが楽しみだった
あれが私の救いだった
征くんに会わなくなってから、2年は経っているのに
私は今だに彼に執着していたし、会いたいとも思っていた