第106章 出会い。
★★
―10年前-
ある日、女の子の泣き声が聞こえた
私は声のする方へ向かった
私はそこで、お母さんとはぐれて涙を流す迷子の女の子に出会った
髪は綺麗な桃色で、凄く可愛らしい女の子だった
この子の名前は”さっちゃん”と言うらしい
遠くから、さっちゃんを必死で探しているお母さんの声が聞こえた
だから私は、迷うことなくさっちゃんの手を引いてお母さんの元へ歩き出した
「さっちゃん!!!!!!」
さっちゃん「ママァー!!!うぁあああああああん」
さっちゃんはお母さんに再会すると、安心したのか余計に泣いた
「さっちゃん、お母さんに会えてよかったね^^」
さっちゃん「ヒック・・・・ありがとう・・・・ヒック」
「ううん。じゃあね♪バイバイ^^」
さっちゃん「ばいばーい^^」
無事にさっちゃんはお母さんと再会することができて
私は、来た道を戻ろうとした
「ねぇ」
突然呼び止められて振り返る
そこに立っていたのは、同い年くらいの赤い髪の男の子
両手でバスケットボールを持ちながら、ジッとこっちを見て言った
「君の耳には何が聞こえてるの」
突然の問いに、私は戸惑った
「何って・・・皆と一緒だよ?」
「俺には聞こえなかったよ。あの女の子を探してる母親の声なんて」
「もしかして・・・・後ろ歩いてたのあなた?私たちのあとついてきてたの?」
「うん。君の発言が凄く興味深くて、この目で確かめたくなったんだ」
「そう言えば、順くんもリコちゃんも聞こえないって言ってた・・・」
「多分・・・君にしか聞こえてないと思うよ」
「えっ!?」
私はこの少年に出会って、初めて自分の耳が特殊なんだと知った
皆と同じだと思っていたのに・・・自分だけが違った
日向「おーい!行くぞー!!」
「あっ、うん!じゃあね!さようなら!」
「待って!」
順くんに呼ばれて、帰ろうとすると、赤髪の彼は私を呼び止めた