第26章 秘密の友達。
もう話すことはないと思ってた彼からは、数か月に一回とかのペースで電話がかかってくるようになった。
相変わらずぶっきらぼうな言葉づかいだけど、彼は必ず泣いていることに気づいてくれた。
『まぁた泣いてんのか?』
なんて言いながら、私の話を聞いてくれる
彼はいつも私の事を〈お前〉と呼ぶ
なのに、電話を切るときだけは必ず〈〉と呼んでくれる
でも、私は知らない。
年齢も、名前も、顔も・・・・
お互いいつもさぼってるから同い年くらいなのかな?
くらいで、後の事は何も知らない
それでも、彼からくる電話は私にとって現実を忘れられる救いの時間だった
彼はいつもさぼっていたけど、いつも探しにきてくれる女の子がいた
その女の子が来るといつもすぐに電話を切っていった
彼女さんなのかな?
これから先もこの人の事を知ることはないんだろうな
声しか知らない、私の秘密の友達。