第127章 好きな人。
★黒子テツヤ★
さんはベッドに運ぶ間も起きることはなく
ぐっすりと眠っていた
そんな彼女をベッドに寝かせ布団をかける
少しもぞもぞと動きながら幸せそうな顔で眠る
そんなさんを見ていると、僕まで幸せな気持ちになる
ここまで本当に色々なことがあった
辛いことがあるたびにさんは傍にいてくれた
嬉しいことがあれば一緒に喜んでくれた
黒子「さんに出会えて・・・本当に良かったです」
さんは僕の言葉に反応するように少し笑った
その顔は、さんを初めて見た日の事を思い出させる
中学の頃
桜の舞う季節
ふと通りかかった体育館裏
桜の木の下で座りながら本を読む女の子
凄く綺麗だと思った
目が離せなくなった
凄く桜の花びらが似合う人だと思った
高校で同じクラスになった時は驚いた
同じ学校だったのも驚きでしたが・・・
桜の木の下で見かけた時とはずいぶん雰囲気が変わっていたから・・・・
だから最初はさんがあの時の女の子だと気づくのに時間がかかった
でも気づいたんだ
あの桜の下で見かけたさんは・・・
とても幸せそうな顔をしていた
それはきっと・・・・
赤司君に恋をしていたから
そして今も・・・・・
黒子「・・・恋をしているんですね」
「・・・・・・・・・」
さんの小さく呟いた寝言は、僕の気持ちを暖かくし
それと同時に、少し切なくもした