第124章 10分。
★★
皆がベンチへと戻ってくる
ゾーンに入った赤司君は、ゾーンに入っている大我でさえ止める事ができなかった
赤司君は誰よりも早くコートを駆け抜けた
彼は強い・・・
でもその姿は・・・・とてもバスケを楽しんでいるようには思えなかった
仲間を見限り自分一人だけでバスケをしている赤司君を見ていると、バスケが大好きだった征君の笑顔を思い出してしまう
彼は今も、赤司君の中に居るのかな?
私の赤司君への恐怖心は、消える事はあるのだろうか
小刻みに震える体を止めるようにぎゅっと手に力を込める
火神「俺がやる」
「え・・・?」
突然の大我の一言に驚く
大我が赤司君を止めるってこと?
降旗「ちょっ・・・火神・・・!?」
河原「まさかそれって一人でってこと・・・!?」
一人で赤司君を止めるだなんて・・・
でも、止められるとしたら大我しか・・・・
今までもずっとそうだった
大我はうちの頼れるエースじゃない
大我の一言で、手に入っていた力が抜けていく
日向「おう。んじゃ頼むわ」
緊張感も無く大我を信じてる順くんの言葉に震えていた体も落ち着き始めた
伊月「・・・うん。妥当だと思うよ」キタコレ
俊くんのダジャレに強張っていた顔の筋肉も少し緩んだ
コガ「だってさ木吉。はいレモン」
木吉「わかった!サンキュ」
黒子「すみません僕も下さい」
そしていつもと変わらないみんなの表情に私の恐怖心は消えていった
日向「託せるエースがいなかったらお手上げだったかもな。ここで「いれば」と悩まなくていいなんてつくづく俺らは幸せモンだぜ」
「うん・・・そうだね」
大我がこのチームに居てくれて良かった
日向「うちには火神がいる。それで十分だろ」
火神「!」
そして一人一人が想いを込めて拳を大我にぶつけていく