第118章 お前の為に。
★★
-数時間前-
「テツ君、試合前に少し敦に会う約束してるんだ。だから、先に控え室に行ってて。直ぐ行くから!」
黒子「紫原君ですか?わかりました。控え室で待ってます」
「うん!」
会場の入り口でテツ君と別れ、私は敦の元へ向かった
敦より先に着いた私は、マフラーにグッと顔を埋め、敦が来るのをまった
周りでは今日の決勝の話や、3位決定戦の話ばかり
少しづつ実感が湧いてくる
そんな中、前から敦が歩いてくる
今日はお菓子食べてない!珍しい・・・
というか、目の前にいる私に全然気付いてない
「敦っ」
紫原「ん〜?あ、こんなとこに居たのぉ?ただでさえ小さくてわかりにくいんだから、マフラーで顔隠したら余計にわかんないじゃん」
そう言って私が顔まで埋めていたマフラーを下におろした
「!!寒い・・・」
紫原「秋田よりは全然ましぃ〜」
「そうだよね・・・今日は試合観てくんでしょ?」
紫原「んー。室ちんとか皆が観に行きたいって五月蝿いから」
「そっか。今日は皆で観るんだ」
紫原「別に仕方なくだし」
「そうなの?」
何だか少し照れてるみたい
敦は素直じゃないけど、ちゃんと顔には出るんだよね
「ふふっ」
紫原「何一人で笑ってんの?」
「ううん。敦に出会えて良かったなぁーって思って」
紫原「はぁ?意味わかんねぇし」
そう言って敦は顔を赤くしながらそっぽを向いてしまった
敦・・・本当に思ってるよ
敦に会えて良かった
だって、敦が居なかったら私は・・・
ここには戻ってこれなかったかもしれない
「ありがとう」
紫原「今度は何なの?!」
「昨日!私の事探しに来てくれて。私と一緒に居てくれて。敦・・・本当にありがとう」
紫原「べ、別にタマタマ気が向いただけだし」
「それでも!それでも嬉しかったから」