第116章 これから。
★黒子テツヤ★
「そのまま私は記憶を失った・・・」
そう言ってさんは下を向いてしまった
黒子「さん・・・そんな事があったんですね・・・」
日向「何で・・・何でもっと早く!!」
リコ「日向君っ!が悪いわけじゃ・・・」
日向「いやそうじゃねぇ。何でもっと早く俺は気づいてやれなかったんだ」
火神「お前、今も赤司が好きなのか?」
こんなとき、いつも突拍子のないことを聞くのは決まって火神君だ
皆があえて聞かないようにしていたのに、火神君はそんな僕達の気も知らずに聞いていく
火神「どうなんだよ?」
「会いたいと思う。征君が大好きだったし、あの頃の彼に戻って欲しいと思う。だけど・・・」
伊月「だけど?」
「記憶を無くしている間に何も無かったわけじゃない」
そう言って、さんは今の気持ちを話してくれた
「征君への気持ちはずっと変わらないと思ってた。でも・・・あの頃の気持ちとは少し違う。だって・・・こうして皆との出会いがあった。涼太や真太郎や大輝や敦たちにも出会った。私は、記憶を無くしている間、一人じゃなかった。皆が傍にいてくれた。私は・・・・征君だけじゃ無くなった」
一つ一つの言葉を丁寧に、少しづつ、少しづつ話してくれる
さんは今、どんな気持ちなんだろう
下を向いていた彼女は、今、上を向いて僕達を真っ直ぐ見てくれている