第5章 優しさの境界線《高校編》 緑間真太郎
最近気づいたことがある
「ッ...すまない」
真太郎の反応がおかしい。
手が触れただけだというのにこの反応だ。
理由はわかっている。
おそらく彼が自分に好意を抱いた、ということだろう。
まるで自意識過剰のような発言に聞こえるかもしれないが実際そうなのだから仕方が無い。
ただ、何故急に、自分に好意を抱いたのかがわからない。
彼とは中学時代からの付き合いである。
同じクラスになることが多く、運動部で成績を毎回争っている、という接点からいつの間にかよく話すようになって、独特な彼と親友、と呼べる程には仲がいいと自分は思っている。
実際、自身が与えられた他校の推薦を断って、彼が推薦を受けていた秀徳高校に通うべく一般入試を受け、ここに来た。
自分は友人と呼べる人間が少ない。
友人と呼べるのは彼に加えキセキの世代、と呼ばれた彼らとここのバスケ部の人たちくらいだろう。
内気でもないが、よく喋るわけでもない、可もなく不可もない性格なのに友達がいないのはおそらく自分の顔と体、それに拗れた本音。
小さい頃から女の子と間違われる程の女顔で華奢で、もっと男らしく、なんてつくづく言われるがために少し捻くれてしまって、よく人間観察から自分をどう思っているのかが手にとって分かる様になってしまい、まるで女子の様に扱ってからかう周りの人間に嫌気がさしてしまった。
そうやって他の同い年の子より幾分かませて、人と関わらなくなるうちに孤独になっていった、のだろう。
中学も憂鬱になりかけていたが、初めのテストで同立だった同じクラスの彼が自分に話しかけ、今に至る。