【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第36章 呪術廻戦✿五条悟「飴玉みたいな瞳」
四つの座席がならぶガラリと空いた教室。まだ明るい日差しが照らすなか、五条悟に引き止められたは足を止めた。
「。僕とゲームしない?」
明るく発せられた声。
目は黒い布で覆われ、は未だに五条の瞳を知らなかった。
「暇じゃないので失礼します」
「つれないね~。どうせ家に帰ったって、ゴロゴロしながらゲームしてるんでしょ? 僕のゲームの方が絶対に楽しいから、ね?」
「今日から新しいイベントが配信されるので帰ります」
調子のいい五条に対し、ハナから相手をしない態度をとった。
五条が良からぬことを考えているのは初対面の時から明らかだった。
「そうお堅いこと言わないで。が勝ったら、この前出張で行ってきた青森のりんごパイを少し分けてあげる」
「少しって…、勝ったなら全部くださいよ」
「よし、交渉成立だ。1個摘まんじゃったけど気にしないよね。僕は太らない体質だけど、が全部食べたら成育上、体に悪いし。では早速ルール説明しまーす」
その瞬間、は身構えた。
ルールを聞いてしまったらやらざる終えない状態になる。
──逃げるが勝ち!
は勘付かれないように動いたつもりだった。
だが入り口の扉に手を付かれ、逃げ場を失う。
音も立たず目の前に五条が立っていたのだ。
「これ。何だかわかる?」
「? 飴、ですけど……絶ッ対に口に入れませんからねっ!先生のことだから変な薬とか混ぜてそうだしっ」
「これは普通の飴玉だよ。袋から出したところ見たじゃない。それでも疑うようならが先攻だ。ルールは簡単っ! この飴玉が溶ける前に口だけを使って相手から奪い取ること。砕いたり飲み込んだりしたら僕の負け。唾液で溶かしきれば僕の勝ちだ」
「えっ…?」
べろっと大きく舌を出した五条は飴玉を乗せた。まだやるとも言ってないのに、を甘く挑発するように鼻先に触れる距離まで迫った。
「僕は逃げたり隠れたりしないよ。その可愛い唇をつかって僕から奪ってくれよ」