【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第31章 名探偵コナン✿服部平次「先生へ」
結婚するはずだった先生の遺影の前で手を合わせいるのは、4つ下の高校2年生の男の子。狭い台所で冷たい麦茶を注いでいると、いつもの挨拶みたいに身体を抱きしめてきた。
「ちょうど喉渇いてん。おおきに」
「貴方のために淹れたんじゃない」
「おっと。口付けてもうた」
「…冷蔵庫に片したい」
邪魔、ということを含めていったのだが、平次は腕を離す気はないらしい。
「それならコレはどうや?」
「…っんう、」
平次は耳の横でゴクゴク麦茶を飲んでいたと思ったら顎クイしてきて、口の隙間から冷たい液体を流し込んできた。
「冷たくて美味いやろ?おかわり~」
「もう…勝手なんだから…」
にこっと気前のよい笑いを向け、空になったコップに麦茶をまた注ぎ込む。
密着度は相変わらず。
でも、嫌なわけじゃない…。
はっきりと拒めない自分が、とても情けないこともよく分かっている。
「も、喉渇いてんのやろ?」
「渇いてない…」
「さっき自分のために淹れとるって言うとったでー」
「もういいの」
「そない冷たいこと言わんといてや。逆に燃えるやろ」
「…っむう、」
また平次は懲りずに口移しで麦茶を飲ませてきた。
…私たちは決して恋仲なわけではない。
最愛の彼を、失った現場に居合わせたのが平次だった。
ほかにはなんの接点も共通点もない。
ただそれだけのこと。
「零さず飲めてえらいな、。俺のも…零さず飲めるやろ?」
そう言って、平次は硬くなっている象徴をお尻に押し付けてきた。さっきまで先生の遺影に手を合わせていたのにとんだ不届き者だ。
「………写真、伏せて…」
「りょーかい」
けれど慎んでいないのも私も同じ。
この拭えない悲しみに一人じゃ耐えきれなくなってしまって、平次の弱みにつけ込む優しさやぬくもりを求め…、幾度も肌を重ね合わせている。
…先生…。
…先生、ごめんなさい。