【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第29章 ハイキュー✿角名倫太郎「氷アイス」
一緒に選んで借りてきた映画をベッドサイドに寄りかかりながら見ていると、恋人である倫太郎が後ろから手を回して髪に触ってきた。
「………なあに?」
そう聞くと手のひらで頭を撫でるだけでなく、指に髪を絡ませるようにいじくってくる。髪を触られるのが嬉しくて倫太郎の肩にもたれ掛かり、まどろんだ時間を迎えようとしたが…。
コンコンと部屋のドアが叩かれ、弾くように身体を起こした。
「~。お母さんたちこれから出掛けるんやけどお留守番頼めるぅ~?」
母の声に緊張が走り、はドアの向こう側にいる母に平然を装った顔を出した。
「うん、わかった。何時に帰ってくるん?」
「そやねえ…」
すると母は含み笑いをし、夜8時過ぎになると答えてきた。
「あ、それと冷凍庫に倫太郎くんの好きなチューペットも冷やしてん。あと冷蔵庫にプリンも置いといてん、遠慮せず食べて行ってや」
「あざっす」
「ほな、お留守番よろしゅう。夜8時過ぎに帰ってくるわ~」
「分かっとぉよ。気を付けてや~」
母の気遣った気持ちは嬉しいのだが、それを意図するように念を押して帰宅時間を伝えてくる。お互い両親は付き合っていることも知っているし、直接的には言われてないが性交渉も済んでいることはバレている。
両親が不在のときに初めてを捧げて、高校生だと一人暮らしの家も用意できなければ、ホテルに行くにしても数千円飛ぶのは大きすぎる。
「………車…行ったな」
倫太郎は外のエンジン音を聞いて、無表情だけど意味ありげに目を向けてきた。
「まだ映画途中やからね」
「…俺のこと、やらしー目で見るな」
「終わったらえーよ?」
「っ………。我慢する」
倫太郎の考えていることはお見通しだ。
しばらく触ってなかったし、母から予めお出掛けすることを聞いていて、それを倫太郎に伝えていたから、家に来たときから心なしか自分も含めてソワソワしていた。
そんな倫太郎に先手を打って、最後まで映画を見るのであった。