【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第22章 僕のヒーローアカデミア✿治崎廻「愛してる、だけじゃ伝わらない
地上に降りたって、の修行場所だというところには小さな山小屋があった。
「ずいぶん本格的だな。野生児」
「都会っ子ですもんね~、治崎さんは!無人島行っても自給自足で暮らせますよ、私!」
「個性なしでも?」
「うーん…。火を起こすとき、めっちゃ個性頼ってます」
「正直だな。火を起こす…か。おまえ、個性をどこまで扱える?」
個性という言葉を本当は使いたくないが、と溝を深めたくないから言葉を合わせる。それに空を飛んだときに自然現象とは思えない大きな窪み…。あれは恐らく、の個性がそうさせたのだろう。
「どこまでって言っても……えっとぉ」
「なら質問をかえる。手や足の一部だけでなく、全身から放出できるのか?」
「あ、はい。自分自身を円の核と考えて、エネルギーを放出させたらどうなるかなァ…って。あの溝、見えちゃいましたか?」
「あァ…。逆に核を自分以外のものに天承する、ということはできるのか?」
「うーん…。捕捉したものを引いたり押したりは出来るんですけど、石ころを核にするような技術はまだ…」
「なるほどな。その年齢でそこまで扱えるのならよほど研究して努力したんだろう。俺の目からみても実技だけだとトップクラスだ」
合否発表が不安でやつれているんだと思い、個性の扱いについて褒めてやった。すべての元凶は治崎自身にあるが、の人格を総合してみても、ヒーローにふさわしい意志だろうと思ったのだ。
「な…なんか、照れますね…。若頭に褒められた」
「急に俺をヤクザ扱いするな。絡みづらい」
「えへへ。だって照れくさくってぇ…」
「こっち来い」
年相応の顔をみせる。やっぱりまだまだ子供なんだとしみじみ思う。手招きするとちょこんと前までやってきて、ぎゅっと抱き締めてやる。
「逢いたかった」
「っ…」
1週間も離れてないけど、腕で閉じ込めたぬくもりがとても懐かしく感じた。マスクを外しての匂いを思いきり吸い込む。
「ここは、空気が良いな」
「私の大好きな場所ですから…」
身体を少し離すとがねだるように視線を向けてきて、どちらからともなく唇を重ねた。