【R18】【ごちゃまぜ裏夢✿短編集】今夜はOKかもしれない。
第4章 ハイキュー✿黒尾鉄朗「年上男」
「ッッ!!!………へ…??」
病室の前に顔を出すと、部屋にいた大声に驚いたように女性たちが一斉に振り返る。
「あら彼氏さん?」
「良いわねぇ…初々しくてっ!」
「いやいや、ただの腐れ縁ですよ~」
そこには頭と足に包帯を巻いたの元気な姿があった。婦人たちとうふふおほほと呑気に話し合っている。
(え…………。なに…俺の早とちり…??)
汗をだらだらと流し、黒尾は一人呆然とする。は「よいしょっと」いって立ち上がり、松葉杖をついてこちらに歩いてくる。
「移動しよう?外の天気良いからさ」
屋上は心地よい風が吹いており、は青いベンチに腰を下ろす。
「…………大丈夫なのか?」
「うん。いや~でもびっくりしちゃうよね。携帯に夢中になってて階段の一番上から足滑らせたんだけどさ……。レントゲン見ても骨もどこも折れてないし、足の捻挫だけなんて。私サイボーグかもしれないって思っちゃった」
「ぷっ!…マジそれな」
黒尾は安心して腰を掛けようとしたが、の次の一言で止まる。
「やっぱ……奥さんのいる人を落そうとしたから落ちちゃったのかな」
「!?」
心がザワッと騒ぎ出す。
「こんなに好きなのに自分が落ちると悲しいよね」
──俺にしとけよ。
喉から言葉が出掛かるが声にも成らないほど何度も飲み込む。黒尾がに対して…今までしてきたことを口にしているようだった。
コイツが欲しいのは"俺"の言葉なんかじゃない。
どんなに真剣に悩んだって無駄なことだって分かってる。俺は自分でそう言う関係を選んだのだから。俺の言葉なんて一生届かない。
「なーんだ。心配して損したわ」
Fin.