第2章 伝えたい
「鬼龍、どうした。動きにキレがないぞ」
「悪ぃ…」
「鬼龍殿、どこかお身体が悪いのか?」
あれから2週間くらい経って、衣装の作業に区切りがついてから水瀬は嬢ちゃんにヘアメイクを教えている。そのため部活にも顔を出したかと思えば、たまに嬢ちゃんが来ては水瀬に相談しに来ることが増えている。
「貴様のことだ、どうせ水瀬絡みだろう」
「いや、別にそういうわけじゃ…」
「最近、あんずが水瀬に懐いているのは俺もよく見掛ける。まあ、こちらの校舎には女子生徒、それも3年があまりいないし、水瀬の人柄にあんずが懐かないわけがないからな」
「そういえば…最近よく水瀬殿をこちらの校舎で見かけることが増えたな。あんず殿との用事のためであったか」
「空手部にも来てるぞ」
「……貴様、あんずに嫉妬するならさっさと水瀬に告白して清算してしまえ」
蓮巳は溜息をつきながら、飲み物を買ってくると言って、神崎はなにか軽食を用意してくるとか言って出てしまった
最初はたしかに女子が戯れあっているのは可愛らしいもんだと思っていた。それに水瀬は頼られたら基本的に断らない奴だし、後輩も可愛がる方だからつい世話を焼いてると思う。
「……とっくに付き合ってるっての」
水瀬とは2年の後半から交際をしている。ただ、俺が忙しいせいで恋人らしいことは出来ていない。出来て精々衣装の作業や部活の終わった後に一緒に帰るくらいか…