第5章 愛されて頂けますか
ママの旧姓は、『和泉』。
ママが嫁いだのは、和泉家から。
ママのおじいさまが亡くなった時に1度、お見かけしたことがある。
ママと同じく彼もまた、『おじいさま』、と、呼びかけていた。
つまり、ママとはいとこ同士になる。
つまり。
「ハイセ、は」
和泉家、と言えば。
うちと同じく海外にまで事業を展開している、最大手。
亡くなったママのおじいさまが総裁を務め、ここまで大きくしたと聞いた。
現在は息子に総裁の座を、孫は、会長だとか。
「和泉財閥会長の、息子?」
「…………大変よくできました」
驚きで、弾かれたようにハイセを見れば。
ハイセはいつものように、目を細めながら笑って。
あたしの頭を撫でたんだ。
「頭の回転、よくなりましたねお嬢様」
………笑顔でディスるの忘れない。
間違いなく。
あたしの執事であってるわ。
殴りたくなった拳に力を入れて。
とりあえずこの場は、そんな醜態晒すことを諦めた。