第5章 愛されて頂けますか
「僕『も』、お嬢様が好きでございます」、と。
「………っ」
「おや、否定、なさらないのですね?」
「な……っ、する!否定するわ!あたしひとことも好きだなんて言ってない!接続詞おかしいんじゃない?」
「いいえ、おかしくありません」
「おかしいわよ!」
「ではお嬢様、僕の言葉が間違いだとおっしゃるのなら、まずは腕を離して頂けますか」
「え」
「出来ないのならば、構いませんね」
「な、何が」
言葉を全て出しきる前に。
力強く両手を引き寄せられて。
気づけばハイセの腕の中。
ぎゅー、っと、背中に回ったハイセの腕に力が入った。
「好きです、お嬢様」
「…………」
恥ずかしくて。
言葉にするのはあたしにはハードルが高すぎて。
言葉のかわりに、そっとハイセの背中に自分の両手を回した。